ココロもカラダも、ぽかぽかあったかい

土間のサンルームがある家

吉沼の家 茨城県水戸市 H邸 2012

吹き抜けのような、明るくて広々としたリビング

 子育てを終えた夫婦おふたりのすまいです。以前のすまいが震災で屋根が壊れ、雨漏りがひどいとのことでご相談を受けました。古い民家(農家)で、今ではもうあまり使うことのない二間続きの客間が日当たりの良い南側にあります。家族団らんの場である居間等の生活空間は北側にあり、特に冬は暗くて寒いということでした。
 明るくて暖かい、住み心地の良い家というのがご夫婦の希望です。リフォームではなく建て替えを提案し、奥様のアイデアを元に話し合いを重ねプランを作成しました。
 平屋のプランですが、吹き抜けのような高い天井で広々としたリビングです。南面には大きな開口と土間のサンルーム、上部には小窓をつけ、明るく風通しのよいリビングになりました。天井にはスギの無垢材、床材にはナラ、壁は珪藻土を使っています。ほのかに木の香りがする、空気の清々しい空間です。
 土間は奥様が大好きなお花を育てるサンルームになっています。冬は日差しで暖められた空気を、夏は深い軒で日差しを遮り土間のひんやりとした空気を、花の香りと共にリビングに運びます。

あたたかいすまいと、家族をつなぐ想い

 和室は客間としてではなく、普段も多目的に使えるスペースにしました。日当たりのよい南側にあるこの和室は奥様が趣味のお裁縫を楽しんだり、週に一度訪問される介護の必要なお母様が畳の上でくつろぎます。和室はリビングよりも一段高くし、車椅子からの移乗が楽にできるようにしました。洗面所やトイレは車椅子でも使いやすい広さです。
 また、納戸と兼用できるゲストルームを作りました。巣立った子供たちが気軽に遊びに来られるように、家族のもとにいつでも帰れるようにと、家族のつながりを大切にする想いがこの部屋にはあります。
 ベッドルームは南西の一番あたたかい場所にあります。今までの暗くて寒い生活から開放されて、明るくあたたかい日差しで心地よく目を覚ますことでしょう。

DATA

敷地面積1215.66㎡(367.74坪)
建築面積185.31 ㎡(56.06 坪)
延床面積165.25 ㎡(49.99 坪)
構  造木造軸組工法 平屋建て
屋  根ガルバリウム鋼板 瓦棒葺き
外  壁硬質木片セメント板 リシン吹き付け
床  材ナラ無垢フローリング
壁  材珪藻土塗り
天  井スギ板張り
受  賞2014年 第27回 茨城県建築文化賞「住宅部門」最優秀賞
2015年 いばらき地域適合型木造住宅コンペ 最優秀賞