五平の家 茨城県水戸市 N邸 2002
北側に竹林のある、環境豊かな場所に建っています。夫婦と子供ひとり、祖母の四人家族の暮らす、数奇屋の純和風のすまいです。この辺りではまだ、法事や町内会の集まりを、自宅で行うことが少なくありません。人が多く集まると、家族の居場所がなくなってしまうため「家族の生活する場所とお客様を招く客間を分けたい」との要望でした。
そこで、プライベートスペースと客間を、玄関を中心に東西2つに分けました。客間は今では多く見られなくなった二間続きの和室。襖を取ればたくさんの人が集まっても十分な広さです。また、琵琶棚や床の間、床脇など純和室の作りでとても趣のある空間になりました。トイレはプライベート用と来客用と2つあり、いつでも気兼ねなく使用することができます。
プライベートスペースはリビング、ダイニング、寝室共に土地を生かして広々とした空間にしました。平屋の場合、奥行きがでてしまい、風通しが悪くなりがちです。中庭風のデッキを囲むように、リビングとダイニング、寝室を配置し、開口部を多く設け風通しを良くしました。
お茶やお花をたしなむ奥様のため、和室は茶室風に。広さは四畳半で天井を少し低くし、炉や床の間も配置しました。庭から客人が茶室に入る貴人口、亭主が点前をするときに使う高さ160㎝の茶道口もあります。隣にはお茶を準備する水屋を設けました。
玄関を入るとホールの正面には帯を使った腰の張物がみえます。この帯は長い間タンスの中に埋もれていた祖母のものです。伝統や人のつながりを大切にするすまいになりました。
DATA
敷地面積 | 1052.82㎡(318.54坪) |
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建築面積 | 226.39㎡(68.49坪) |
延床面積 | 196.94㎡(59.58坪) |
構 造 | 木造軸組工法 平屋 |
屋 根 | 引っ掛け桟瓦葺(土瓦) |
外 壁 | ラスモルタル 刷毛引き仕上 (セラスキン吹き付け) |
床 材 | ラオス松 |
壁 材 | 京壁 ビニルクロス貼(寝室) |